「玄関は家の顔」とよく言われますよね。
それは、来客がまず最初に踏み入れる内部空間だからです。
人も家も第一印象というのは大事なものです。
だからといって、必要以上にお金をかけて
変に見栄っ張りな空間にはしたくないものです。
本当に家の顔となりうる玄関をつくるためには
どうしらいいのでしょうか。
もっとも重要なのは、仕上げの豪華さでも広さでもなく、
その住まい手なりの来客に対するオモテナシの心が
その空間にあらわれているかどうかだと思います。
そのために私は、玄関を設計する際には
どんなにささやかでもいいから、飾り棚や
展示スペースを設けるようにしています。
そこに絵画や趣味の品を飾ると、
住まい手の人柄があらわれてきます。
花を置くなどして、季節を感じられる
空間にするのも素晴らしいです。
そして、飾り棚には間接照明などを仕込んでしっかりと
非日常的な雰囲気を演出することも忘れてはいけません。
いい加減につくった部分は、
すぐに使われなくなってしまうものです。
住まい手が「使いたい!演出したい!」という思いを
維持できるように、設計するのが大切。
また玄関は、下足を脱ぎ履きする場でもありますから、
その動作の利便性、下足収納スペースの確保も
考慮しなければなりません。
それらが雑多にならないように整理するのが
設計者のウデノミセドコロ。
みなさんは玄関をただの出入り口にしてしまっていませんか?
============================
【N邸】
下駄箱と飾り棚(カウンター)を一体にした例。
天井まである造り付けの下駄箱の一部を
オープンにして、飾り棚として使っています。
(上部に間接照明が仕込んであります。)
要素が集約しているので空間はスッキリしますね。
反対側の壁上部にはピクチャーレールが取り付けてあり、
写真や絵画を飾れるギャラリースペースになっています。
左:玄関入り口ドアの方を見る(昼)
右:玄関ホールの方を見る(夜)
【K邸】
単独で飾り棚(ニッチタイプ)を設けた例。
左:飾り棚のカウンター部分は杉板で白い壁と対比させました。
ひかえめな大きさですが、空間のアクセントとして充分に機能します。
ダウンライトが仕込んであり、照明での演出もぬかりありません!
右:下駄箱の下はオープンにして間接照明を設け、
夜の玄関を演出します。
床は玄関ポーチと同じく、モルタル金ゴテ塗り仕上げに
住まい手自ら玉石を埋め込んだもの。