
建築や住まいの話から日々の事までを綴ります
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私は福祉住環境コーディネーター2級の資格を持っています。 しかし、その資格は一般の方にはあまり知られていないように感じますので、 その役割をご紹介したいと思います。
福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障害者に対して住みやすい住環境を提案 するアドバイザーです。 医療・福祉・建築について体系的で幅広い知識を身につけ、各種の専門家と連繋を とりながらクライアントに適切な住宅改修プランを作成するのがその役割です。 クライアントに対して効率の良いサービスを提供するためには、住宅のスペシャリスト である設計者がそれを兼ねることが重要だと私は考えます。
近い将来に世界一の高齢大国になると言われるわが国は、高齢者の方々が 生き生きと楽しく、そして安心して暮らすことができる社会基盤をつくりあげて いかなくてはなりません。 そのなかでも「住居」は家の中で過ごすことの多い高齢者にとって第一の生活基盤で あり、生き生きと暮らすための重要な要素です。しかし加齢による身体機能の低下で、 住宅内の様々な部分に不具合を感じるようになります。 実際に高齢者の住宅内事故は年々増加傾向にあり、同年代の交通事故死亡者数を 上回っているのはご存知でしょうか? これらを解決するための有効な手段として住宅改修がありますが、これにはソーシャル ワーカーや建築関係者、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)など多くの専門家が連繋し、 多角的な視野に立ったコーディネートが必要になります。 しかし現状ではどこに住宅改修を依頼していいのか分からなかったり、依頼できたと しても最初に相談した窓口の専門性が前面に出てしまいバランスの悪い改修になって しまうなど、様々な問題が出ています。 そこで、住宅改修に関わる各種の専門家と連繋をとりながら、クライアントに最適な 住環境を提供する『福祉住環境コーディネーター』の存在が重要になってくるのです。
住宅設計者でもある私は、ただ単に機能整理された住宅改修を行うのではなく、 使用素材やその空間構成などにもこだわりたい。 お年寄りや体の不自由な方々にも、その人らしく生きられる、本当の意味で豊かな 住空間を提供したいと考えているのです。
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