「Architecture(アーキテクチャー)」と「Building(ビルディング)」。
和訳すれば、前者が「建築」、後者が「建物」となるわけですが、
大きいくくりでは同じもののように思われます。
しかし、わざわざ違う言葉があるのだから、
きっとその根っこも違うはずです!
ここに私なりの解釈を述べたいと思います。
「Architecture」・・・建築家がArchitectとなるのであるから、
建築家によって計画されたもの。建築。
もっと掘り下げれば、社会的な存在意義・
存在の仕方について深く考慮されており、
芸術的側面も持ち合わせる建物。
「Building」・・・経済活動の歯車でしかないもの。建物。
これは大きな建物に限ったことではありません。
一般の人に一番身近な建物である「住宅」についても言えるのです。
みなさんが家を建てるなら、どちらにしたいですか?
ただ、安いから。考えるのが面倒だから。
と、安易に手に入れた住宅は間違いなく後者だと言えます。
施工者の飯の種としての意味しか持たない建物です。
「芸術的側面」などと大そうなことを書きましたが
(それは設計者が考えればよいことで・・・)、
建て主・設計者が地域性・風土・社会性など、自分を取り巻く
環境について深く考え、辿り着いたものは「Architecture」なのです。
ようは、同じ家をたてるにしても、そこに辿り着くまでの意識のプロセス
が重要だということです。
これがなければ、まさに骨抜きということでしょう・・・
これは建築に限ったことではないでしょう。
モノヅクリに携わる人間ならば当然の心得ではないでしょうか?
「Architecture」といえる住宅を一つでも多くつくりたいと思っている、
小さな一設計者のつぶやきでございました。