断熱材の施工を行っています。
断熱材についても、設計者によって考え方は様々。
充填断熱か、外張り断熱か?
繊維系断熱材か、ボード系断熱材か、はたまた吹き込み断熱材か?
選択肢は様々。施工性も様々。費用も様々。
断熱材だけで決めるのではなく、家のつくり方や住まい手の生活に
合わせた材料の選択が重要だと思っています。
私が設計の核に据えているのは、富山県産杉を使用した木の家づくりです。
できるだけ構造材もあらわしにして、無垢の木材の調湿性能を活かしつつも、
肩肘張らずに大らかに生活できる、そんな家づくりです。
その場合は、断熱材も自然素材で、そして大らかな施工を許容できる
「羊毛断熱材」の使用を基本としています。(壁において)
一方でこの犬島の家は新しい設計の試みです。
「水平」と「垂直」、「線」と「面」、「抜け」と「受け」
という空間における対比表現を、いかに純粋に突き詰められるかという挑戦です。
空間において材料の選択はとても大切ですが、ここで重要視するのは
自然素材かどうかではなく、空間の質を高める様な選択ができているかです。
そんな純粋な空間表現を追い求めた「犬島のいえ」においては、工法や使用材料で
特殊なものを使い、その部分でコストアップするというのは避けたいところ。
そこで本計画ではとにかく裏方材料においてはコストを抑えることが最優先と
なりました。ということで、普及率が高く、比較的安価に手に入る
「ロックウール断熱材」を選択しました。
という風に書きますと、さも「何でもいいや」と物を決めたかのように聞こえますが、
同じく普及品のグラスウールではなくロックウールとしたことには理由がありますし、
トレードオフという方法を用いてではありますが次世代省エネ基準はクリアできる
仕様にはなっていますから、手を抜いた訳ではないんですよ。
ロックウールに関しては、室内からの湿気の影響を受けないような施工が重要です。
そして断熱施工においては如何に隙間なく丁寧に施工してあるかが重要です。
そして現場を経験するたびに、その難しさにぶち当たります。
教科書通りにはいかないものです。
それは断熱材だけに限ったことではありませんが・・・。
そのような状況の中で大工さんには少々苦労を掛けさせてしまっていますが、
丁寧な施工をしていただいており嬉しく思います。