「犬島のいえ」のデザインテーマのひとつは
『美しい屋根をつくる』というものです。
この建物の主役は平板形状の瓦なのですが、
それを引き立たせるようにシンプルで主張し過ぎない
脇役としての鋼鈑屋根の存在を忘れてはいけません。
シンプルさを求めるが故に、実はすごく手間のかかる
納まりを採用しているのです。
今回採用しているのはAT葺きという形式ですが、
通常隅棟部分はごっつい雨押え板金がついてしまいます。
例えばこんな感じ↓
これは一般的な納まりで作業性も良いし、雨仕舞上も問題ありませんが、
美しいとは思えません。
板金屋根の軽快な感じを壊してしまっているというか・・・
そこで犬島のいえで取り入れたのは「差し棟納まり」です。
犬島のいえでは、瓦屋根においても差し棟工法としていますが、
それと合わせるようにしています。
それがこちらです↓
正面から見ても、側面から見ても、水平ラインが通っていて美しいです!
これぞ職人技!手間が掛かっています。
この納まりをするためには1段ものにする必要がありますし、
すべて掴み込みで納めていくので、本当に労力が掛かると思います。
優雅に見える白鳥が、その水中では非常に激しく足を動かしている
ということと同じでしょうか・・・。
美しい屋根をテーマとする「犬島のいえ」ならではのコダワリでした。