『下黒田のいえ』
山下大工と一緒に県産杉床材を選別しました。杉の一等材であるため節・埋め木・木目・色味を確認し、良いものを目立つ位置に集められるように事前に選り分けておく必要があります。2階に使用する板は130枚強。全て確認するのはそれなりに手間が掛かるのですが、これをちゃんとやらならないと良いものにはなりません。
山下さんは、ほぼ節の無いサッシの枠材であっても木目や小さな節を確認し、可能ならば他の部分とやりくりしてより良くなるように気を遣って作業されています。
自然素材は人間と同じで、その個性は様々です。だからこそ、しっかり材料と向き合って丁寧な作業が不可欠です。
このように実は見えない部分に地味に手間が掛かるのが大工さんの仕事で、だからこそ本来クリエイティブなものだったはずですが、最近では既製の新建材が多用されるようになり大工さんが自分の感性を働かせるような作業が減っていると感じます。
A+Aの設計する住まいでは、職人さんの感性や手仕事が感じられる部分をコストバランスも考慮しながら可能な限り取り入れるようにしています。
人が住まう家に、つくり手の体温が感じられないのは寂しいですからね。