『高岡まちなかの鉄骨住宅リノベ』
左官下地としてアンダーペーパーを張りました。
左官(塗り壁)や塗装仕上げの最大の敵は石膏ボードジョイント部に発生するクラックです。建物には常に微振動が発生しており、地盤の状況によっては付近を車が通過するだけでも細かく揺れます。特にその構造特性から木造・鉄骨造はよく揺れます。
そうすると、内部の壁下地も変形します。壁下地が木製の場合は経年による乾燥変形も起こります。それにより石膏ボードが動き、ジョイント部分にずれるような力が加わります。左官・塗装のクラックやクロスのヨレは、ほとんどはこのボードジョイントの不具合よって発生します。
これはある程度は避けられないことであり、面が大きい程ひずみも大きくなるのでよりリスクが高まります。その対策として、ジョイント部にはビスを多めに打ったり、ジョイントの設け方に気を付けたりしていますが限界はあります。
そこでA+Aでは、大きな面積への左官仕上げとする場合は、工事費が許すのであれば専用の紙下地「アンダーペーパー」を併用することにしています。これによりボードジョイントを拘束する効果が生まれ、クラックの発生を軽減することが出来ます。
本プロジェクトでは、リビング・ダイニングの天井面がなかなかに大きいのと、ペレットストーブの近くで熱を受けやすい壁面のクラックが心配なので、そこの部分に限定してアンダーペーパーを張りました。
建築工事というのは、常に意匠性・施工性・コストのバランスの下に成り立っており、絶対的な完璧を求めるのは難しいですが、出来る限り「人事を尽くして天命を待つ」という姿勢でいたいなと考えています。