家の中にいて、ふと自然を感じる瞬間があると、心がほどけるような気がします。そんな瞬間を日常に取り込めないかと考えたとき、インナーパティオと土間という空間のかたちにたどり着きました。

パティオは、外でもあり内でもある不思議な場所。屋根に切り取られた空から光が差し、風が通り抜ける。土間と一体になったこの空間は、何か特別なことをしなくても、そこに佇むだけで気持ちが整います。

土間には三和土や石など、風合いに奥行きのある自然素材を使います。足元から伝わるひんやりとした感覚が、木の床とは違った静けさを運んでくれる。そういった違いが、暮らしに小さな変化を与えてくれるのです。

設計をする上で大切にしているのは、そういう“何もしない時間”が自然に流れる場所をつくること。あるお施主さんが「ここにいると落ち着きますね」と言ってくれたとき、その言葉にすべてが詰まっているように感じました。

住宅の中に、自然とつながるやわらかな余白を。そんな思いで、今日も図面に向かっています。