設計を始めるとき、まず意識するのは「この土地とどう関係を築くか」ということです。富山で建てるなら、富山の素材でつくる。これはごく自然なことに思えますが、じつはとても奥深い選択です。

地元の杉や桧は、この土地の気候風土と調和しています。暑さ寒さへの対応、湿度との付き合い方、そして何より、そこに住む人の感覚にしっくりくる。そんな相性の良さがあります。

私たちの設計では、天井や造作家具、建具に地元材を積極的に取り入れています。節があっても構わない。むしろその揺らぎが、空間を優しく包み込んでくれるのです。
ある現場で、大工さんが「この木、いい表情してるね」とつぶやいたことがありました。職人が素材に愛着を感じている。それだけで、建物に命が吹き込まれるように思えました。

地元の素材を使うことは、単に「地産地消」ではなく、人と自然と建築のつながりを深めることだと思います。その土地で育ったものを、その土地で暮らす人のために使う。そのシンプルな循環を、丁寧に重ねていきたいと思っています。