建築の中には、「使わない場所」というものがあります。廊下の端だったり、階段の踊り場だったり、ちょっとした空きスペース。そういった“余白”があることで、家全体の空気が少しだけ軽やかになるような気がします。

使い道のはっきりしない空間が、思いがけず心の逃げ場になったりもするのです。たとえば、本を手にとって一人になれる角、子どもがちょっと隠れて遊ぶ場所。余白があることで、暮らしの想像力が膨らんでいきます。

設計の中で、「この空間、本当に必要かな?」と問うとき、私は逆に「余白がないこと」の窮屈さを思い出します。建築は、機能だけでは測れない。心の広がりがちゃんと宿っているかどうか、それが大切だと思うのです。