手すりは、単なる機能部材のように見えるかもしれません。けれど私にとっては、空間の中でとても大切な役割を持つ存在です。触れるたびに手のひらが記憶するような、そんな素材や寸法、かたちを意識しています。

家の中で一番多く手に触れる部分かもしれません。そこに温かさが宿るだけで、毎日の動作がどこか丁寧になる。階段を上るとき、誰かとすれ違うとき、そっと支えてくれる気配のようなものを手すりに託したいのです。

特別な意匠ではなくていい。でも、その家の空気に自然と馴染むような、控えめだけど確かな存在感を持つ。そんな手すりを考える時間が、私はとても好きです。
