設計の仕事の中で、私がいちばん好きなのは、やはり現場です。図面の線が、木や土や鉄になって立ち上がっていく。その過程には、たくさんの人の手と技が重なっています。
職人さんたちの道具の音、材料の匂い、墨のあと。図面では想像できなかった微細な発見が、現場には必ずあります。そこにいることで、設計に足りなかった何かに気づくこともあるのです。
現場は生きもののようで、予定通りにいかないこともあるけれど、だからこそ面白い。完成に近づくにつれ、空間が少しずつ息をし始める。その瞬間に立ち会えることは、建築の醍醐味のひとつです。