古い家に足を踏み入れると、独特の空気を感じることがあります。柱についた小さな傷や、磨かれて艶を帯びた手すり。歩くたびに鳴る床板のきしみ。そのひとつひとつが、長い年月の暮らしの記憶を物語っています。
新しい家を設計する際も、できる限り何かを受け継ぎたいと考えます。古い建具を使ったり、梁を一部残したり。そうした小さな継承が、新しい空間に奥行きを与え、住む人に安心感をもたらします。
家は単なる箱ではなく、時間を刻む器です。世代を超えて引き継がれる中で、過去と現在、未来をつないでいく。そんな「記憶を受け継ぐ家」が、これからもっと大切にされていくと感じています。